自宅を残す場合、個人再生手続で最低いくら支払う必要があるのか

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小規模個人再生の最低弁済額について

小規模個人再生で最低限弁済する必要がある金額

 個人再生手続には2種類ありますが、以下、よく利用する小規模個人再生手続において最低限支払う必要がある金額(以下、「最低弁済額」といいます)について、説明します。

 

 小規模個人再生では債務者は再生計画に基づいて弁済していくことになりますが、この再生計画に基づく弁済総額については、最低弁済額が決められています。この最低弁済額は、①負債総額から算出される金額と②清算価値から算出される金額を比べて、多い方の金額より上回っていなければなりません。

 以下、最低弁済額を算出する要件である、①負債総額から算出される金額、及び、②清算価値から算出される金額を説明します。

①負債総額から算出される金額 

 負債総額に応じて、最低弁済額が100万円、基準債権額の1/5、300万円、基準債額額の1/10になります。

②清算価値から算出される金額

 個人再生手続では、再生債権者の利益を反しないように、計画弁済総額が破産配当以上でなければなりません。この原則を清算価値保証原則といいます。

 したがって、申立人に帰属する総財産について、定められた方式に従って清算価値の総額を算出する必要があります。

 

自宅を残す場合の最低弁済額について

 自宅を残す場合、自宅という財産があるので最低弁済額を算出する上で、上記「①負債総額から算出される金額」だけではなく、上記「②清算価値から算出される金額」についても検討する必要があります。

 以下、小規模個人再生の申立をして住宅ローンで購入した自宅を残すというよくある事案で、自宅の清算価値をどのように算定するか説明します。

 

住宅ローンで購入した自宅がある場合

 住宅ローンで購入した自宅には住宅ローンを返済するまで抵当権が設定されています。

 この自宅に設定されている抵当権の被担保債権の額(住宅ローンの残高)が自宅の評価額を超えている場合(このような場合を、「オーバーローン」といいます)、自宅の評価額は個人再生手続において、0(清算価値は0)と扱います。一方で、自宅の評価額が住宅ローンの残高を超えている場合、その超えた分を清算価値に反映させる必要があります。

 従いまして、自宅がオーバーローンの状態であるか否かは、最低弁済額を算出する上で、重要なポイントになります。

 

 長期間住宅ローンを返済し続けている方、土地の値段が上がっている地域で自宅をお持ちの方は、自宅がオーバーローンの状態ではなく、余剰価値が出ている可能性があるので要注意です。

 

自宅を残す個人再生手続きを申し立てる場合

 自宅を残す個人再生手続を申し立てる場合、自宅がオーバーローンの状態であれば自宅の評価額は0と扱うことができるので、自宅を除いた他の財産の清算価値の総額が上記「①負債総額から算出される金額」を超えなければ、最低弁済額は上記「①負債総額から算出される金額」になります。

 

 しかし、長期間住宅ローンを返済している方、また、土地の値段が上がっている地域で自宅をお持ちの方は、自宅に大幅な余剰価値が出ている可能性があり、上記「①負債総額から算出される金額」より、上記「②清算価値から算出される金額」が大幅に多くなる事案があります。

 また、ご自身名義の自宅以外にも「退職金」「加入している保険」「自動車」などの評価額を合算していくと、ご本人の資産総額が大きくなる場合があります。資産総額が多い方が個人再生を行った場合、上記「①負債総額から算出される金額」より、上記「②清算価値から算出される金額」が大幅に多くなる事案があります。

 上記「①負債総額から算出される金額」より、上記「②清算価値から算出される金額」が多くなる事案では、最低弁済額は上記「②清算価値から算出される金額」になります。

 従いまして、上記「②清算価値から算出される金額」が大幅に多くなる事案では、最低弁済額が高くなるので返済総額が上昇します。

 

 以上のように、小規模個人再生手続で自宅を残す場合、最低弁済額を試算する上で自宅の評価額が重要なポイントになります。

 従いまして、当事務所では、最初の相談に以下の資料を持参して頂いています。

  ① 固定資産税の納税通知書

  ② 住宅ローンの残高の資料

  ③ 自宅の登記簿謄本(全部事項証明書)

 

 なお、自宅の登記簿謄本(全部事項証明書)は、自宅の評価額を確認するためではなく、自宅を残す小規模個人再生を利用できるか否かを確認するために持参して頂いています。  

 

個人再生手続で自宅を残すことをご検討されている方は、まずは、大津法律事務所までご相談ください。

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弁護士 辻井 康喜

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